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父へ


 私ごとですが、先週、9月20日に父が亡くなりました。
 89歳、診断書には「老衰」と書かれていて、大往生だったと思います。
 すぐに兄と二人で秋田に戻り、コロナ禍の中でしたので、親戚をはじめお世話になった皆様の参列をご辞退し、母と兄と私と、父の弟家族だけで葬儀を終えさせていただきました。
 
  父の人生を一言で言えば「自由な文化人」だったと思います。
 若い頃から家族がいることで我慢したことは一つもなく、好きなところへ行き、好きなものを食べ、飲み、好きな物を買い、好きなことをした人生でした。
 お酒が好きでしたが、あまり酒癖はよくなくて、今でいうDV、モラハラ的な態度で家族に接することも多く、若い頃はあまり父が好きではありませんでした。 
 
 絵画鑑賞が趣味で、父の年代では珍しいと思いますが、秋田の田舎町から一人でツアーに参加して、ヨーロッパの美術館巡りに二度行きました。
 特に好きだったのがルーブル美術館で、住みたいぐらい楽しかったと言っていました。
 東京にいる時は、土日の度に美術館、画廊、アートギャラリーを回っていました。
 気に入った絵の前では何時間でも眺めているので、画廊の人が絵画好きの金持ちと勘違いして、売り込もうとして色々説明してくれるんだよと面白がっていました。
 たった一度だけ、新宿の京王デパートのアートギャラリーで絵を買って来たことがあります。
 パリの街角を描いた油絵で、8万円ぐらいだったそうです。
 家に飾るのはレプリカやカレンダーの絵で充分だと言っていた父でしたが、それだけパリに思い入れがあったようです。

 娘が2~3歳の頃、当時勤めていた会社を定年退職し、それから上京して保育園〜塾の送り迎えのために私の家に約10年間同居して面倒を見てくれました。
 私にはあまりいい父親ではありませんでしたが、孫にはびっくりするほどの好々爺ぶりで、父の意外な一面を見た思いでした。
 孫とのんびり遊びながら過ごした日々は、現役の頃に仕事に忙殺されていた父にとっては、人生の中で一番ゆっくりした、宝物のような時間だったのでしょう。
 私にとっても、苦手だった父と和解できて、父の人柄を見直すことができた良い機会となりました。
 当時、娘と二人で繰り返し見ていたのが『アルプスの少女ハイジ』のビデオで、「いつか一緒にスイスに行くのが夢だねー」と、二人仲良く話していました。
 今月、父が亡くなる直前に二人で見舞った時、娘は「おじいちゃん、スイスに連れて行ってあげられなくてごめんね」と、泣きながら語りかけていました。
 
 7年ほど前、娘の中学合格を見届けてから秋田に帰りましたが、すぐに脳梗塞の影響で認知症になり、6年前から特養のお世話になっていました。
 とても素晴らしい施設で、スタッフの皆さんも親身に父のお世話をして下さり、看取りもお願いしていましたが、1カ月ほど前に肺炎にかかって、生家のすぐそばの扇田病院に入院し、回復することなく、そのまま亡くなりました。

 まだ元気な頃に、父と約束していたことが3つあります。
 ①延命治療をしないこと
 ②葬儀には誰も呼ばず、家族だけで簡素に執り行うこと
 ③墓は残さず、小笠原諸島の海に散骨すること(小笠原諸島に地縁はありませんが、私の旧姓は小笠原です)
 まだ③は果たせていませんが、一周忌までには願いを叶えるつもりです。

 父の今世のテーマは「何がなんでも自分の好きなことをする」だったのかなと思います。
 この時期に亡くなったことも、最後に生まれ育った土地の病院で亡くなったことも、すべて自分で選んだことだと思います。
 また、この日を選んでくれたことで、私の仕事にも一切影響がなく、これも段取り上手の父のお蔭と感謝しています。
 
 ただ一つ、「できれば90歳までは生きたいな」と言っていました。
 亡くなった時は89歳と5カ月、これだけは果たせなかった願いでした・・・
 と思ったら、葬儀の時、ご僧侶に書いていただいた位牌の裏に「享年90」と書いてありました。
 そっか、父の年代の人は、数えで年を言うんでしたね!
 
 父さん、最後までお見事な人生でした!
 あなたには、ただ感謝の言葉しかありません。
 ありがとう、どうかゆっくり休んで下さい


父の遺影は、7年ほど前に私が撮影したものです。
文化人だった父らしい、いい写真です。最後の親孝行になりました!
父の写真

父が買った唯一の絵です。
この絵を見る度にパリが懐かしいなぁと言っていました。
父の絵
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プロフィール

株式会社フロック高倉章子

株式会社フロック高倉章子
新卒でゲーム業界に飛び込み早や38年目、日本のゲームセンターの歴史とともに歩んできた仕事人生でした。世界中のゲーマーとゲームに携わるお仕事をされている方たちが、笑顔になれるお手伝いをさせていただきたいです♪

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